美術館とある女性を巡る思い出
今日はふとしたきっかけから、ある美術館に足を運びました。
現在開催中の企画展には心引かれなかったので、常設展を見ることにしました。
何度も見たことがあるため、特に注意を払うことなく作品を見てまわったのですが、
ある作品の前で私は茫然と立ち尽くすことになったのです。
実はこの美術館は数年前、ある女性とデートをした思い出の場所なのです。
友人の紹介で知り合ったその女性は、私と同様、美術が趣味。
共通の趣味があるということで意気投合し、何度かのメールのやり取りの後、美術館でのデートにこぎつけたのです。
女性に慣れていない私は終始緊張をしていて、デート全体が成功だったのかは分かりませんが、
それでも美術を巡る話しは楽しめたと記憶しています。
その後も美術館でのデートを数回重ねましたが、
残念ながら、その女性とは交際に至らず、疎遠になってしまいました。
その理由はいろいろとありますが、一つ大きな理由として当時の私を巡る状況があったと思います。
当時私はある困難に直面していました。
あれこれと手をつくしたのですが問題は解決せず、それがあらゆる面での自信の喪失につながったのです。
彼女の前では明るく振る舞おうとしたものの、どこかでそうした自信の無さが出てしまったのでしょう。
そうした振る舞いに失望した彼女は私から離れていったのだと思います。
さて、冒頭の絵に話しを戻します。そのルノワールによる絵に描かれた女性が、実は先の女性に似ているのです。
とくにこの絵を見るつもりで美術館に来たわけではなかったのですが、
今の私の心の中にある何かが私をこの絵の前に連れてきたのかもしれません。
数年の歳月は長く、今の私は当時の私ではありません。彼女はどう変わっているのでしょうか。